おっさんと女子高生

「嬢ちゃん」
「ん」
「お前さんケータイ持ってたのか」

彼女は、なんだコイツと言わんばかりの目で俺をチラ見。
しょーがねぇよ。だってお前がケータイいじってるとこ、俺はじめて見たんだよ。
いつも暇な時は俺の『ダイナソーボール』読んでるし。
それに、そのケータイ、一度も音を鳴らしたことないじゃないか。

「私のケータイ、常にサイレントモードなの」

俺の疑問を感じとったらしい彼女が、ケータイの画面を見つめながら呟いた。

「メールか?」
「……うん」
「友達か?」
「違う」
「男か」
「うん」
「そう――は?男?」

信じられなかった。彼女に男の気配なんてかんじられなかったから。

「ボ、ボーイフレンドか?」
「なんか……古いね、“ボーイフレンド”」

フンッと鼻笑いした彼女は再びボタンをぽちぽち。

「どんな奴だ」
「えーっと、……チャラ男…?」
「なんだと。チャラ男なんて喰ったら捨てるの代名詞じゃねぇか!関わるな!」
「偏見だよ、そんなの」

なんだか妙にイライラしてきたから、落ち着くために深呼吸した。

「で、どうやって知り合ったんだ?」
「…………説明するのめんどくさい」
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