おっさんと女子高生
「俺にくらい話してくれたって良いじゃねぇか」
彼女は意地悪そうにニヤリと笑い、ケータイを床に置いた。
「気になる?」
「まぁな」
「ふーん」
ニヤニヤしながら俺の顔を覗きこんでいたので、頭を軽く叩くとしぶしぶ話し始めた。
俺の家から帰る途中、そのチャラ男に声をかけられたらしい。
馴れ馴れしくしてくるので鬱陶しがっていると、鞄をとられ、ケータイを取り出し、赤外線でアドレスを勝手に交換したそうだ。
犯罪じゃんとひいていたら、そのチャラ男が『先輩に宜しくッス』と去って行ったらしい。
「あ、アイツ…!」
チャラ男はタクのことだった。昨日会ったとき、異様にご機嫌だと思ったら…。
「俺は認めねぇ。あんな奴、絶対に駄目だ」
「おっさんには関係ないし」
「なんか俺、娘を嫁に出す気分だ」
「………嫉妬じゃなくて?」
「し、嫉妬?ばーか」
彼女はムスッとした顔で部屋を出ていった。たぶんトイレ。
よかに置かれたままのケータイを見て、腕組みして考えた。彼女のケータイからタクにメールしてビビらせてやろうか。