おっさんと女子高生
二人で適度に食べて、余ったら同僚にあげれば…と思っていたんだが。タイミングが悪かったかな。というより……
「嬢ちゃんと俺って同じ日に生まれたのか」
「365分の1だよ。奇跡だね!」
「わざとらしく言うな。棒読みだぞ」
「だって嬉しくないし」
「とりあえずロウソクに火つけようぜ」
「は?おっさんロウソクもらったの?」
え、お前は貰ってないのかよ!誕生日なら普通貰わないのか?
「お子さま」
俺の買ったケーキ箱に付いていたロウソクを確認した彼女は、馬鹿にして鼻で笑っている。
「歳の数だけ貰ったの?」
「いいや。20本しかない。……ところで、嬢ちゃん何歳になるんだ?今高校1年生か?」
「……違う。それよりおっさんは何歳なわけ?」
「聞くな。まぁとにかく、おめでとう」
「おっさんも、おめでとう」
どちらともなく自分が買ってきたケーキを交換して、ロウソクを10本ずつ分けて火を付けた。
電気を消そうと立ち上がるが、その間に彼女がフウと火を吹き消してしまった。仕方がなく俺も自分のを消して、包丁でケーキを切り分けた。
「お前さんが残したのはタクにやるよ」
「おっさんが残したのは?」
「ん、タクにやる。アイツ甘党だからよ」
「うわーあり得ない。最悪。全国の甘党に謝れ」
「タクのことになると饒舌だな」
結局お互い9割がた残し、タクの腹の中に入った。来年は買わないでおこう。まぁ、来年も彼女がいるのか知らないが。