おっさんと女子高生
「おう、久しぶりだな」
彼女が前来たのはいつの頃だっただろうか。そう、一週間前だ。病気になったのか、彼女を取り囲むゴタゴタが消えたのか、連絡先を交換してない俺には知る術がなかった。
「汚ない」
部屋に入った彼女の第一声がそれだった。そういえば、部屋の掃除はいつしたっけな。洗濯は?汚れた茶碗もたまってる…。
彼女が家に来てたときは、彼女も一応年頃の娘だし、汚れた部屋は嫌だろうとゴミだけはしっかり処分してた。茶碗は彼女が洗っていたし。
「ずっとコンビニ弁当?」
床に散らばる袋を拾い集めながらこちらに来て、両手いっぱいになったゴミを全部ちゃぶ台の上に置いた。
「悪いか」
「ねぇ、寂しかった?」
俺の前にしゃがみこんで上目遣いに俺の顔を覗きこむ彼女。その口元はいつものように意地悪に弧を描いている。
「ばーか。俺を何歳だと思ってんだ」
「チャラ男からの情報」
彼女によると、一昨日ぐらいにタクから“先輩が元気ない。何かあった?”というようなメールが来たそうだ。ちなみにメールに気づいたのはついさっきで返信するつもりもないらしいが。
気の気配り方が女みたいでキモい、とも言っていた。