おっさんと女子高生
「俺の話はいいからよ、お前さんは何してたんだ?」
「は?テスト勉強だけど」
ふーん、と頷く前に彼女を凝視。あいつ、勉強なんかしてたのか。あの鞄から教科書取り出してるところ、一度も見ていないんだが。俺の家にきても漫画呼んでるかゲームしてるかだ。
俺が意外そうにジロジロ見てるので鬱陶しかったのだろう。近くにあった空き缶を俺の腹に向かって投げつけてくる。
良いのか悪いのか、歳をとってだらしなくなった腹のおかげで痛みは感じない。
「バカにしてるの?」
「いや、お前、一応進学校だろ?留年とか大丈夫か?全然勉強してねぇからよ」
「勉強は学校と家でやってる」
「で、赤点だったのか?」
「………まだ返ってきてない」
“赤点”発言がお気に召さなかったのか、不機嫌そうな顔でお菓子の袋をビリッと勢いよく破る。
「悪かったな。俺がメシ作らせてるからよ」
「赤点とったこと前提で謝ってるでしょ」
「しかしなぁ、夜中に外出歩いてた不良娘が勉強してるって言っても…」
「………もし学年で10位以内に入ってたら、何してくれるの?」
「なぁーんでもしてやる。海外旅行でもいいぞ!」
バリバリと菓子を噛み砕き、恐ろしい形相をしている。俺はそれにビビりながらも笑みを浮かべて菓子の袋の中に手をしのばせようとするが、彼女に手を叩かれてしまった。