おっさんと女子高生
「後悔してもしらないから」
そう言い冷たく笑う彼女を見て、これはやってしまったかもと後悔。あの自信満々な顔。
「ちなみに、前回の順位は」
「秘密」
「そうか」
「男に二言は無いんだよね」
「当たり前だ。で、何がお望みなんだ。取り敢えず言ってみろよ」
俺が淹れた茶を飲みほしてから、ズイズイと俺の方へ近づいてくる。俺の鼻の頭と彼女の鼻の頭の距離約10センチ。思わずうおっと言って後ろにのけぞる。
「なんだ!?」
「おっさん」
冗談とも本気とも言える目。そらしたい。でもそらしたら悪い気がする。
「私とチューしてよ」
「………な、なに言ってんだ。俺を警察につきだして慰謝料でも貰うつもりか」
「まあね」
彼女はいつものように意地悪に笑う。なんだ、からかってただけか。そうだよな。
俺も笑ったが、顔がひきつってたかもしれない。驚きなのかなんなのか心臓がバクバクしている。
「おっさん」
「ん?」
「私がいなくて寂しかった?」
「……まあな」
「あ、あのね」
「…………ん?」
珍しくおずおずしている。何か言いにくいことを話し出そうとしているのは勘づいた。けど…。
「アイス食べたい」
それは彼女の一番言いたいことじゃない。
「買ってくるか」
「さすがおっさん」
「まあな!」
ごめんな、嬢ちゃん。俺さ、どうしたらいいかわかんねぇんだ。お前もそれを知ってて言えないんだよな。