おっさんと女子高生

「おっさん、この“ゆりこ”って女は一体全体どこの馬の骨なわけ」

家に帰ったら俺の携帯を持った彼女が玄関で待ち構えていた。俺の携帯といっても、携帯してないものだからその役割はたいして成してないのだが。

「…………ゆりこ?誰だそいつ」
「とぼけるなハゲ。名前がこの携帯にしっかり登録してある」
「なんでそれを知ってんだ?」
「電話、かかってきた。ゆりこから」

ゆりこ、ゆりこ、と名前を頭の中で反復して、数秒後にその人物の顔が思い浮かんだ。
思い出すまでもなかったか。俺の携帯に登録してある女の名前なんて、この“ゆりこ”ぐらいしかいないのだから。

「で、どうした?切れたか?」
「私が出てあげたよ」

自慢げにそう語る彼女にデコピンして、彼女が持っていた俺の携帯を奪い取った。
彼女は両手でおでこをおさえたままうずくまっていて、しまった、本気でやりすぎたか、と彼女を少し気の毒に思った。

「人にかかってきた電話になんでお前さんが出るんだ?」
「だって、私おっさんの奥さんだし、妻なんだから夫の携帯ぐらい……」
「いつ俺の妻になった!?」

この嬢ちゃんは学力はあるがどこか抜けてるのか……。まさか本気で俺の妻になってるつもりじゃないだろうし。
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