おっさんと女子高生
「彼女、できたの?私にことわりなく?もしかして元カノ?」
「あー、ゆりこっていうのはだな、」
「私、もう来ないほうがいい?」
手をのばして服の裾をぎゅっとにぎりしめてくる。普段強気な彼女がみせるしょんぼりとした表情に、自分までもがブルーにさせられる。
「嬢ちゃん、ゆりこは俺の妹。なんなら電話して確認するか?」
「………えっ、マジ?」
「マジマジ。お前さん、いっちょ前に妬いてたか?ん?」
「お、奥さんなんだから当然でしょ」
「かわいーなぁ。照れてんのか」
撫でてやろうと彼女の頭に手を置いたら、彼女がフッと鼻で笑った。えっ、と思って顔を覗きこんでみると、一生懸命笑いを堪えているではないか。
「う、わ。嬢ちゃん、今までの全部あれか、演技か!騙された!」
「ばかじゃないの。本当に妬いてると思った?」
「お前さん大女優だ。まあ、俺の奥さんになるにはもっとこう色気が必要だ。そこが足りなかったな」
「ハゲ」
まだハゲてねぇ!まだ、な!
もう一度デコピンをかましてやろうとしたが、その前に彼女に腹を殴られた。
「おっさん、私に色気があったら結婚してくれるわけ?」
「そうだな。何回でもしてやるよ」
「………ふーん」
それから俺を玄関に残して彼女は部屋に入ってしまった。
あれ、なんださっきの沈黙。なんだろう、この違和感。