おっさんと女子高生
「………やっぱり、どうかしてるのかもな、俺」
もういい、寝る。そう言って布団の中に潜り込み、彼女に背を向けた。
ダメだ。そう思うとさらに考えずにはいられなくなってしまう。
あの戸を開くな、あの箱を開けるなと言われるとやりたくなってしまう。それと同じ。
「おっさん」
「ん?」
「…………兄弟ってさ、どんなだと思う?」
「どんなって、その家族によって違うだろ。お嬢ちゃんにはいるのか?」
「………いるよ。弟が二人」
いたのか。兄弟。意外に思っていると、彼女が続けた。
「あとね。三歳の女の子」
嬉しがっているように聞こえた。彼女の声しか聞こえない俺は、妹、可愛がってんのかな、としか考えなかった。
自分のことで精一杯で、せっかく見せてくれた寂しさに気づいてやれなかった。