おっさんと女子高生
台所の戸棚の奥から煙草の箱を取り出した。少しだけ埃が被っている。
そこから一本摘まみ、口に加えたまま再び戸棚の中に手を入れた。
手が金属に触れ、それを掴んで戸棚から出し、ライターだと確かめる。
いつから吸ってなかった?
思い出そうとしても蜘蛛の巣がかかったようにぼんやりしている頭では無理だった。
何もしたくない。
脱力感が全身を襲う。
ふぅと煙を口から吐いた。
久しぶりの煙草の味はとても美味しいとは言えなかった。
失恋。ただその言葉だけが駆け巡る。
俺は彼女を愛していたのかもしれない。