おっさんと女子高生
車に隠れて公園の方を観察する。藤棚の下のベンチに座っている奴が一人。そしてそいつに向かい合うように立っている奴が一人。
目を細めるが暗くてそれ以上の情報を得られないため、足音を忍ばせてさらに近づく。
立っているのはスーツを着た男だった。会社帰りのサラリーマンか、40代後半のオヤジだ。
座っている奴に視線を移す。髪が長い女だ。こちらからは後ろ姿しか見えないが、なんだかすごく嫌な予感がする。
その女が、知っている奴のように思えた。
脂汗が肌を湿らす。気分が悪い。
予想よはずれてくれ。そう願いながらさらに近づいた。手汗で滑り落ちそうな缶ビールを強く握りしめて。