おっさんと女子高生

女が立ち上がった。灰色のセーターを着ていた。

男が女を抱きしめて、女の耳元に顔を埋めた。男の手が女の背骨を伝うように下に下におりる。

それに合わせるように目線を少し下に移した。黒いハイソックスにプリーツスカートだ。よく知っているスカート。彼女が通っている学校のスカート。

そう脳が判断した時にはもう男を突き飛ばしていた。手に持っていた筈の缶は潰れて地面に落ちていた。

缶の中身は男にかかったようで、男の髪からポタポタと垂れていた。

男の胸ぐらを掴み拳を男の顔を目掛けて振りかざした。

当たる。と思う前に男に突き飛ばされて尻餅をついた。顔を上げたときには男の姿は無く、車のエンジンのかかる音。

数秒後にはただの静かな公園になっていた。

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