おっさんと女子高生
俺は立ち上がり、ジャージに付いた汚れを払う前に目の前にいる彼女の頬を思い切り叩いた。
彼女は目を見開いて俺を見上げている。
手がジンジンする。それよりも、胸が苦しくて苦しくて、喉が、目頭が熱くなり、思わず唇をギリギリと噛んだ。
呼吸がうまくできなくて息苦しい。どくどくと心臓が脈うっている。
彼女の大きな目から何かが溢れた。左目から一筋。右目から一筋。とどめなく溢れ出してきた。唇をヘの字に歪めて、声を出すのを堪えているようだ。
綱から落ちた彼女を見たのは初めてだった。
彼女もきっと、ぶたれた頬よりも心が痛いのだ。