おっさんと女子高生

このまま幸せで暮らせたらいいのに。そう願ったのも束の間、隣の部屋の住人からの嫌がらせが始まった。

初老の、子どものいない夫婦だった。最初は懇意にしてくれて、旅行先のお土産もくれた。

夕方になると、ランドセルを背負ってふざけ合いながら帰る弟達を待ちかまえるようにドアの前に立ち、目前を過ぎ去る二人を睨み付けた。

そういった細かい嫌がらせだった。

何が原因でそうなったのかわからずじまいだった。子どもがいないから三人もいるお母さんを妬んだのか。それとも母子家庭を蔑んだのか。

人間は信用できないね。お母さんは悲しそうに笑った。

また引っ越した。同じ市内だけど、マンションとアパートとは遠い地区。

< 77 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop