おっさんと女子高生

「本当にそれで幸せになれると思ったか?」

呻くような悲痛な泣き声は止まらない。彼女は手のひらで涙を何度も拭いとるが、その甲斐もなくどんどんどんどん溢れてくる。
見るに堪えれずに彼女の首の後ろに腕を回して自分の方へ引き寄せた。俺の胸に顔を埋めた彼女は遠慮がちに腕を俺の背中に回し、Tシャツをぎゅっと握りしめた。

「その貯めた金、どう言って渡すつもりだったんだ。『“アイツ”を殺して迷惑かけると思うから、見知らぬオヤジとセックスして稼いだお金あげるね』とでも言うつもりだったか?」

彼女の肩がビクリと揺れた。それをなだめるように抱きしめる腕の力を強くする。酷な事を言って彼女を傷つけたかもしれないが、彼女は自分がやろうとした真実を知らなくてはいけない。
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