おっさんと女子高生
「もし何も言わずに渡したとしても、そんな大金どうやって稼いだかぐらいすぐバレるぞ。母ちゃんなんだぞ。娘のやってることぐらい察知するにきまってんだろ」
涙声で何か言いながら、俺の胸に顔を埋めたままの彼女は俺の背中をポコポコ殴る。
正しいと信じてやろうとしたことを否定された苦しさ、悲しさ。もどかしさで胸が苦しいに違いない。
「お前が苦しんで稼いだ金で母ちゃんと弟が幸せに暮らせると思ったか?弟がお前にありがとうって言うと思ったか?」
彼女は顔を離してドンッと俺の胸を突き飛ばした。
おっさんは何もわかってない。もう帰る。
そう泣きわめく彼女をまた抱きしめた。腕から逃れようとする彼女を強く抱きしめた。