おっさんと女子高生
「金を貯めるのは大学出てからでも遅くねぇんじゃねぇか?親孝行するにはまだ早いんじゃねぇか?母ちゃんはお前にまだまだ迷惑かけられたいんだよ。修羅場を潜り抜けて一人で三人育ててきたんだ。そんな脆い母ちゃんじゃねぇだろ?」
抵抗をやめた彼女はただ俺に抱かれて泣いていた。
ごめんなさい。
蚊のなくような声だったけど、確かにそう言った。
「それに、お嬢ちゃん……」
ふぅとため息をついて、彼女の細い髪に指を絡める。シャンプーの甘い香りが鼻孔を通る。
「俺に言えよ。独身歴何年だと思う?金の使い道なくて困ってんだ」
「………私とおっさんは赤の他人だし、お金の貸し借りなんて…」
「馬鹿言うなよ」
彼女の耳元に唇を近づけた。甘い香りが肺を満たして、それが酸素と共に全身に行き渡ったかのように体がふわふわと軽くなった気分になる。