バイオレンス・ダーリン!?
 ガタン! と椅子を蹴倒した波月は、慎吾の広い背中に隠れた。おびえる小動物の如くプルプル震えている波月は、慎吾の腕の辺りからこっそり花那をうかがって、


「あ、あんた、ひょっとして……百合なのか……!?」


 百合。
 穢れの知らぬ清らかな人生を送ってきた方々には『花?』という認識でいて欲しい。
 そうは思うがこれを知らずして話が進まない。

 主に女性同士、特には思春期の少女同士の恋愛感情、または強い友愛感情を示す概念である。いわゆるBL――ボーイズラブの反意語、というわけだ。


「いや、違うと思うけど……? ちょっと待ってよ。その過剰な反応は激しく誤解を生むと思うんだけど」

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