バイオレンス・ダーリン!?
「……なかなか言うじゃない」
「いやいや、波月は聞けないだろー」
ふたりの間ににゅっと湧いて出たのは、言わずと知れた矢柴慎吾。
ご主人様のいるところに下僕あり、とばかりに遠い席からわざわざ移動してきたのだ。律儀な奴である。
「波月は超絶意地っ張りなお姫様だから。間違って一目惚れなんてことになっても、相手に名前なんて死んでも聞けないと思うよ?」
「それって、女王様の間違いのような気も」
「あんたらそれは、あたしのこと馬鹿にしてるのか?」
してないしてない。ふたりは同時に首をふるふると横に振った。
怒れる女王様――もとい、波月の教育的指導は、ふたりとも出来るなら避けたいところであったから。