バイオレンス・ダーリン!?

「え、ダメー。波月も俺と来るの」


 万人(女子と、一部の乙女系男子)が愛でたいと思わずにはいられない慎吾スマイルを前に、波月はとびきり冷たく横目で見た。
 女王様は、いつも飼い犬に手厳しい。


「はっ? 何を勝手に決めてくれてるのよ」

「俺一人だったら、うまいこといいくるめられて、入部させられちゃうかもー」


 ないな。絶対にないな。
 花那はすかさず心の中でだけツッコんだ。

 この場合、波月の味方に――すなわち慎吾の敵に回るのは得策ではない。


「そしたら朝も夜も、休みの日も部活三昧になるなあ。波月と遊びに行けなくなるし、買い物の荷物持ちや雨の日のお出迎えだって出来なくなるよー?」

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