バイオレンス・ダーリン!?
あごをしゃくってバイクを指す不良Aに、花那に迫り来る不良B。どんだけお約束なんだおまえたちは。
しかし、いくらお約束な展開が面白かろうが、当事者にとってはちっとも笑えないわけで。
「キャー! ちょっと、近寄らないでよスケベ! 変態! 人さらいーっ!」
思いつく中で、簡単な罵倒の言葉を選びながら叫ぶ花那。高等言語は彼らの耳を右から左へ通過するだろうと見越してのことだ。
鞄をブンブンと振り回し、徐々に退路を絶たれながらも奮闘する。
「ほーら、もう逃げられないぜ」
下卑た笑いだ。胸焼けがしそうに濃いものがある。