バイオレンス・ダーリン!?

 花那は、最終手段は禁じ手かな。ああ買ったばかりのローファーがもったいないな。なんて全世界のオスが宿命付けられた急所を狙うことを考えていた。


 その時だった。


 不良Aが宙を舞った。華麗な蝶なら見栄えはよかったが、でっぷりとしたお腹といやらしい鱗粉がチャームポイントの蛾(が)ででは、ちっとも美しくはない。

 ――などと言っている場合ではない。

 スローモーションのようにも見えたが、それは電光石火で投げ飛ばされたのだ。
 続いて、花那に迫る不良Bに喰らわされたのは超高速の回し蹴り。

 みっともない軌跡を描きながら横に吹っ飛んだ不良B、そして数秒の空の旅に出ていた不良Aは、地面にぶつかり仲良しこよし。再び立ち上がることはなかった。
 合掌。

< 8 / 32 >

この作品をシェア

pagetop