浮気、始めました。
「いってきまーす」
傘立てから傘を抜いてドアを開けた。
相変わらず降ってる。
はあ…雨嫌い。
さっきはドキドキできたから
ちょっと嬉しかったけど。
歩きながらも、いろんなこともやもや考えちゃう。
翔太のこと。
翔太のこと。
…翔太のこと。
え、
結局翔太のことしか考えてない。
無口でクールゆえに、
バカで分かりやすい性格のあたしには
何考えてるかわかりづらい。
そういえば、告白された時も
あの無表情だったから
ちょっと本当か疑った。
でも、ほっぺたを赤く染めてそっぽ向きながら
卒アルをちょっとぶっきらぼうに返すところは
最強に可愛かった。
…実は、まだキス一回もしてない。
ハグはしてくれる。たまに。
あたしが悲しい時とか
寂しい時は抱きしめてくれる。
翔太も、自分が寂しいと
何も言わずに後ろから手を回して抱きしめて、
首筋あたりに顔を埋めてくる。
翔太の匂いも息もわかるくらい近い。
可愛い。エロい。ドキドキやばい。
それ以上はいかないんだけどね。
抱きしめることだけでも、
翔太にとってはすごい勇気出してると思う。
この先何か進展あるのかな。
気づいたらもう塾に着いていた。