悪魔の熱情リブレット
悪魔の神殿パンデモニウム。
それは地獄の底に存在する悪魔達の集会場。
「いつ見ても派手だよね」
黄金に輝くその建物を見上げ、アンドラスが溜息を吐いた。
パンデモニウムは全て金でできている。
貪欲で知られる悪魔マモンが掘り当てた金が使われているのだ。
マモンは金銀財宝が大好きで、暇さえあれば部下に指示して金の採掘に精を出している悪魔だ。
「まるで天上の神殿ですよ」
天にある神殿パルテオンに対抗して建てられたパンデモニウム。
よって、地獄には非常に似つかわしくない聖なる威厳を放っている。
入り口に到着したアンドラスとサリエル。
すると黄金の重たい扉が自動で開き、中に彼らを招き入れた。
「今回はなぜ宴を開いたのでしょうね」
サリエルの素朴な疑問に、アンドラスは馬鹿馬鹿しいと言うように答えた。
「地獄の王の気まぐれでしょ。だいたい、僕達悪魔がいちいち理由つきで行動する?半分以上本能だろ?」