悪魔の熱情リブレット
「きゃあああぁぁ!!」
突然のティアナの悲鳴に、シルヴェスターは居間へすっ飛んできた。
「ティアナ様!?」
そして目にした光景は暖炉の前で倒れている少女の姿。
慌てて駆け寄り抱き起こす。
「ティアナ様!どうなされたのです!?」
呼び掛けるも意識を失っているらしく反応しない。
シルヴェスターは呼吸をしていることを確認すると、彼女の体を調べ始めた。
少女の悲鳴の原因は何か。
ふと、彼女の右手に目がいった。
「これは…!?」
火傷した右手。
彼はティアナを抱き上げると急いで料理場に行き、水で火傷を冷やしにかかった。
「ティアナ様…」
目覚めない少女。
シルヴェスターは胸騒ぎがしてならなかった。
心配するシルヴェスターの思いなど知るよしもないティアナは、夢の中で優しげな女性の声を聞いていた。
『ティアナ、私はゴモリー』
真っ白な視界の中、ティアナはその清んだ声に耳を傾ける。
『私は貴女となり、貴女は私となりますの』
女性は笑いながら言った。
『交換いたしましょう?』
――貴女と私の魂を…