悪魔の熱情リブレット
肌に熱気が伝わる。
眠っていても感じる体の熱さにティアナの意識は回復した。
「あれ…?」
起きてびっくり。
「ここ、どこ?」
炎の壁に囲まれた円形の寝室。
ティアナは黒いシーツのベッドに横たわっていた。
「あれ?シルシルは?それに私、本読んでて…それで…」
一人でうんうん唸っていると炎の壁を通り抜けて誰かがやって来た。
「起きたかゴモリー。いや、ティアナと呼ぼうか…」
長い黒髪に死人のような生気の感じられない肌、そして切れ長の目に闇色の瞳。
「あなた、誰…?」
「久しいな。ティアナ。私はルシファー。地獄の王だ」
「ルシファー?地獄の、王…?じゃあ、もしかして…ここって…」
答えはルシファーの口から紡がれた。
「ここは地獄だ」
愕然となるティアナ。
「私はパンデモニウムで宴を開催した。お前も来るがいい」
ルシファーはティアナを抱き上げ炎の壁に向かう。
「え?焼けちゃうよ!?」
迫る炎に怯える少女を漆黒の悪魔は面白そうに見つめて言った。
「安心しろ。今のお前の体はゴモリーのものだ。悪魔の体は火くらいで痛みなど感じない」