悪魔の熱情リブレット

「壊れろーー!!!!」

ルシファーがバシンに気をとられた一瞬の隙を見逃すほど、アンドラスは甘くない。

切れ味のすばらしい彼の得物は容易に王の首を切り落とした。


重力に逆らうことなく落下する悪魔の首。

それはボトリとベッドの上に落ちた。

アンドラスは自分の心臓からルシファーの手を引き抜き、彼の体をベッドに放り投げた。

「アンド、ラス…?」

震えた女性の声。

白い悪魔は胸の傷を押さえながらティアナの方を向いた。

彼女はバシンに寄り掛かるようにして立っている。

「大丈夫…?アンドラス…」

「平気だよ。このくらいで、死なないさ…」

この言葉が強がりなのは、見ればわかる。

アンドラスは苦しそうに大きく溜息を吐いた。

「ルシファーは、死んだの…?」

これにはバシンが答えた。

「いや、まだだ。死んじゃいねー」

「狸寝入りだよ。本当、悪趣味…」

「狸寝入り…!?」

全くそのように見えないため、ティアナは驚きの声を上げた。


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