悪魔の熱情リブレット

すると、背筋を這うような不気味な笑い声が彼らのいる空間を包んだ。

「ルシファー…!」

アンドラスは痛む体に鞭打って剣を構えた。

「え…?ルシファーの、声…?」

訳がわからずティアナがベッドの方を見ると、丁度倒れていたルシファーの体が起き上がったところだった。

「ひっ!!」

直視して絶句する。

その体には当然、首はついていなかった。

ルシファーの手は切り落とされた自分の首を探し、ベッドの上を触る。

そして手が目当てのものに触れると、それを抱えた。

「ティアナを…恐がらせないで、くれる…?」

アンドラスの嫌みたっぷりの発言にルシファーは閉じていた瞳を開いた。

「驚かせたくてな?」

ティアナに流し目を送る漆黒の悪魔。

「う、そ…!?首が、首が喋って…!?」

「首が飛んだだけじゃ…地獄の王は、死なないんだよ…。図太いよね」

「だが、少しは力が弱まる」

バシンの緊張した声にアンドラスは頷いた。

「じゃあ、教えてもらおうか。ティアナに、ちょっかい出した目的と…ティアナの魂を、もとの体に戻す方法を、さ!!」


< 129 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop