悪魔の熱情リブレット
すると、背筋を這うような不気味な笑い声が彼らのいる空間を包んだ。
「ルシファー…!」
アンドラスは痛む体に鞭打って剣を構えた。
「え…?ルシファーの、声…?」
訳がわからずティアナがベッドの方を見ると、丁度倒れていたルシファーの体が起き上がったところだった。
「ひっ!!」
直視して絶句する。
その体には当然、首はついていなかった。
ルシファーの手は切り落とされた自分の首を探し、ベッドの上を触る。
そして手が目当てのものに触れると、それを抱えた。
「ティアナを…恐がらせないで、くれる…?」
アンドラスの嫌みたっぷりの発言にルシファーは閉じていた瞳を開いた。
「驚かせたくてな?」
ティアナに流し目を送る漆黒の悪魔。
「う、そ…!?首が、首が喋って…!?」
「首が飛んだだけじゃ…地獄の王は、死なないんだよ…。図太いよね」
「だが、少しは力が弱まる」
バシンの緊張した声にアンドラスは頷いた。
「じゃあ、教えてもらおうか。ティアナに、ちょっかい出した目的と…ティアナの魂を、もとの体に戻す方法を、さ!!」