悪魔の熱情リブレット
第九幕
昔、一人の老婆が力の強い悪魔を人間界に呼び出した。
呼び出された悪魔。
それが地獄の王ルシファーだった。
「女、なぜ私を呼んだ?」
その老婆は答えた。
――悪魔の王よ、私に力を!!私は多くの人間が恐れるほどの占い師になりたいのだ!!
欲望に支配された女の瞳。
悪魔は満足げに頷いた。
「よかろう。お前の願いに力を貸してやる」
これが後のシャッテンブルクの悲劇に繋がるのだった。
その老婆は一定の土地に定住しない流浪の旅芸人で、仲間や家族と共に占い女として各地を巡っていた。
ルシファーは彼女に未来を知る力を授けた。
しかし、そこには落とし穴が一つ。
老婆に与えられた力は不幸な未来しか見ることができなかったのである。
占った相手が老婆の言う通りに不幸になっていく。
彼女は客や仲間、仕舞いには家族にまで不吉な占い女として扱われるようになった。