悪魔の熱情リブレット
多くの人々が彼女の見る未来を恐れたが、不幸にあわないよう努力するためにわざわざ占ってもらう者もいた。
しばらくの間、彼女は「不幸を占う女」として良くも悪くも注目を浴びた。
しかし、その謳い文句はある日を境に「死を占う女」に変わった。
突然、彼女は占う相手が死ぬ未来しか正確に見ることができなくなったのだ。
当たるのは死の未来だけ。
これはルシファーの気まぐれだった。
彼は老婆に言った。
「人間が一番恐れるものは何だと思う?それは『死』だ。皆に平等に訪れる『死』には誰も抗えぬ。ゆえに恐れる。その『死』を全て正確に知っているお前は『死』と同じくらい人々から恐れられる存在になるのだ」
――多くの人間が恐れる占い師…それがお前の望みだろう?
そして地獄の王は、最悪な道へと彼女を誘った。