悪魔の熱情リブレット
アンドラスは彼女の顔を自分の方に上向かせながら言った。
「こういう時は、『愛してる』って言うんだよ。さあ、言ってごらん」
甘く蕩けるような囁き。
「あ…愛し、てるの…」
ティアナは恥ずかしくて、顔をアンドラスの胸に埋めた。
「こら、声が小さい。もう一回」
しぶしぶもう一度。
「愛、してる…」
「ダメ。感情こもってない」
さらなるダメ出し。
「愛してる…」
「ふざけてるの?君はお人形?」
いい加減、ティアナは感情を爆発させた。
「愛してるの!!!!」
アンドラスの顔を見上げ不安げに瞳を揺らす。
「良くできました」
心地好い彼の声。
アンドラスは少女の顎を優しく触る。
「僕も…」
不意に夜風が舞った。
星のように輝く彼の瞳がティアナの前に曝される。
「愛してる…」
そして唇が重なった。
(好きじゃない…)
素直になれない心。
(愛してるんだ…)
やっと伝えた感情。
――僕だけのティアナ…