悪魔の熱情リブレット

アンドラスは彼女の顔を自分の方に上向かせながら言った。

「こういう時は、『愛してる』って言うんだよ。さあ、言ってごらん」

甘く蕩けるような囁き。

「あ…愛し、てるの…」

ティアナは恥ずかしくて、顔をアンドラスの胸に埋めた。

「こら、声が小さい。もう一回」

しぶしぶもう一度。

「愛、してる…」

「ダメ。感情こもってない」

さらなるダメ出し。

「愛してる…」

「ふざけてるの?君はお人形?」

いい加減、ティアナは感情を爆発させた。


「愛してるの!!!!」

アンドラスの顔を見上げ不安げに瞳を揺らす。

「良くできました」

心地好い彼の声。

アンドラスは少女の顎を優しく触る。

「僕も…」

不意に夜風が舞った。

星のように輝く彼の瞳がティアナの前に曝される。

「愛してる…」

そして唇が重なった。




(好きじゃない…)

素直になれない心。

(愛してるんだ…)

やっと伝えた感情。




――僕だけのティアナ…








< 151 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop