悪魔の熱情リブレット


 ティアナが絵を描くことに楽しみを覚えて二週間。

毎日最低でも二、三時間は描くようになったためか、意外と上達した。

と本人は語る。

実際はそう劇的な変化はないのだが、多少道具の使い方に慣れてきたことは確かだろう。

「今日は教会に行くの~。お祈りしてから絵を描いてくるから、五時くらいまで帰ってこないかも」

最近、町のあちこちに一人で行ってしまうティアナ。

(このところ、全然構ってくれないんだけどっ!)

アンドラスは放置される我が身を憐れみ、決心した。

「ティアナ!」

「何?」

「今日は僕も一緒に行くよ」

(一人寂しく居間でごろごろなんて、どこの死にかけ老人さ!?)

好きな子とは一緒にいたい。

心の中でも口に出しても言えない恥ずかしがりやなアンドラスだった。

「良いけど…教会だよ?」

「ハッ、この何とも言えない焦燥感を解消するためなら…教会くらい…」

手の届くところにティアナがいないと落ち着かないアンドラス。

ティアナ依存症だと近頃自分で気がついた。


< 155 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop