悪魔の熱情リブレット
「うわああぁ!!」
慌てて進路を正そうとするも、もう遅い。
全速力で走っていた馬を止めようとして失敗し、そのまま森を駆け抜けた。
(まずい!このままじゃ…)
呪いの町シャッテンブルクに出てしまう。
(減速させて道を変更しないと…!)
しかし、後方には白い悪魔。
どうすべきか迷っていると、森の出口が見えてきた。
「え…?」
ライナルトの視界に入ったもの。
それは人間の少女だった。
「危ない!!!!」
少女とぶつかりそうになり勢い良く手綱を引っ張る。
「きゃあああぁぁ!!」
少女に突進する前に大きく前足を上げて大人しくなった馬。
彼女は無傷だ。
しかし、ライナルトは馬がのけ反った拍子に落馬してしまった。
「痛っ…!」
命に別状はないが体を地面に叩きつけられて、かなり痛い。
「大丈夫!?」
少女が心配して駆け寄ってきた。
「平気で、す…」
安心させようと彼女の顔を見上げて、ライナルトは息が止まるかと思った。