悪魔の熱情リブレット
そんなこんなで出掛けていったアンドラス。
ヴォラクとサリエルも共について行ってしまったため、現在食堂にはティアナとシルヴェスターの二人きり。
「ねえ、シルシル。ベリアルって誰?」
パンを食べながら質問タイム。
「ベリアル様は凶悪、醜悪、奸悪の最悪三要素を持った最低な悪魔です。美形ですが嘘つきな上に戦闘は強いです」
恨みでもあるのだろうか。
いつもより、やや感情が入った解説だ。
「アンドラス、勝てるかな…?」
「心配いりません。以前も戦って向こうに敗北を認めさせました。今回もそうなるでしょう」
「ざまあみろ」とでも言いたそうな表情に、ティアナは驚いた。
(シルシル…何か、怒ってる…?)
ベリアルの名が出てからどうも雰囲気が刺々しい。
「あ~、あのね、えとね…食べ終わったら教会行ってくるね!」
シルヴェスターのために明るい笑顔で話題を変える。
「わかりました。お気をつけて」
相変わらずの心配性だと思いつつ頷いたティアナ。
食後、普段と同じように聖なる建物へと歩き出したのだった。