悪魔の熱情リブレット

「でも…私…」

「君のためを思って言ってるんだ…」

少女の考え込む様子に彼は不安げに問い掛ける。

「そんなに、難しいか?」

「だって、他の町に住むなんて…頼れる人もいないし、想像できなくて…」

「行く当てがないなら俺のところにいればいい。君なら…構わないから」


(むしろ、君だからいてほしいんだ…)


ライナルトは真摯な態度で、彼女を説得さようと頑張った。

しかし、なかなか了承しないティアナ。


「君は一生この町に縛りつけられて生きるのか?」

「それでも構わないの。私、シャッテンブルクが好き」


堂々巡りの会話。

繰り返されるやり取りを断ち切るために、ライナルトは覚悟を決めた。

「ティアナ!俺は初めて出会ったあの日から、君のことが忘れられなかった」

建て前だけの言葉では少女の心を揺り動かせはしない。

自分の心の内を包み隠さず声にする。

「あの時からずっと、俺は君のことを慕っていた…」

恥ずかしさと緊張で高鳴る心臓。



――どうか…



「どうか、俺の妻になってほしい」


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