悪魔の熱情リブレット
「ごめんね。突然驚いただろ?今のは俺の友人でさ、前に君のことを話したんだ。『天使』を見たって…」
二人は町の中心から離れ、民家が密集する方向に足を進めた。
「あいつの姉が、顔がそっくりだったさっきの二人。双子なんだ」
ティアナに敵意を剥き出しだった女性達のことらしい。
「本当にごめん。彼女達のせいで、不快な思いをさせた…」
申し訳なさそうに頭を下げる彼にティアナは慌てた。
「平気だよ!気にしてないから!大丈夫大丈夫!」
「本当に…?」
「うん!むしろ気づかってくれて、ありがとう」
偽りのない笑顔。
ティアナはこの数時間でかなりライナルトに心を許していた。
自分でもびっくりだ。
アンドラスとはまた異なった魅力を持ったライナルト。
普通に生活していたら、ティアナも彼のような人に恋をしていたのかもしれない。
(ライナルトとなら、私も普通の女の子になれるかな?アンドラスを忘れて、皆と同じように生きられるの…?)
「愛」とはまだ呼べない淡い淡いライナルトへの恋心。
しかし、それは時間が経つごとに確実に少女の中で変化していった。