悪魔の熱情リブレット
ティアナが行方不明と聞いて丸坊主の悪魔は大層驚いた。
「なら俺様に任せろ!一瞬でお嬢ちゃんのところまでひとっ飛びだ!」
彼は椅子の上に種袋を乗せると、気を集中させティアナのもとへ瞬時に移動した。
バシンが移動した先で見た光景は、荒れ地だった。
「何だ…?ここは。お嬢ちゃんはどこだ?」
草木が一本も生えていない殺風景な場所。
砂利だらけの地を見渡す。
「お?あんなところにアンドラスが」
荒れ地の中心でしゃがみ込んでいるアンドラスに、バシンは陽気に声をかけた。
「アンドラ~ス!シルヴェスターから聞いたぞ?お嬢ちゃんは見つかったか?」
彼は何気なく白い悪魔を覗き込んでギョッとした。
アンドラスが抱いているティアナ。
彼女の顔は死人のそれであり、胸にはアンドラスの武器が深々と突き刺さっている。
「どういうこった!!!アンドラス!!!?」
困惑するバシンにアンドラスは静かに言った。
「僕が…ティアナを殺した…」
虚しく荒れ地に消える声。