悪魔の熱情リブレット


 ティアナと二人きりになったアンドラス。

彼はまず、彼女の唇の血を拭き取った。

次に胸を綺麗にしようとして、ふと手を止めた。

少女の体を見下ろし、ゆっくりと服に手をかける。

アンドラスは彼女の上半身を露出させ、花を愛でるように優しく傷口に口づけた。


「…すまない…」


再び、涙が零れる。


「すまない…ティアナ…」


破壊の瞳から溢れる懺悔の粒。

彼はきつくきつくティアナを抱きしめた。

「どうすればいいの!?僕は、まだティアナと…ここにいたい!!離れたくないんだ…ティアナ」

抜け殻は何も答えない。

一方通行の言葉。

「君は…僕のものなんだよ…?」



――ねえ、また笑ってよ



頬を撫でる。




――僕に微笑んで…




重く閉ざされた瞼。






――君を…生き返らせることが、できたなら…







「生き、返る…?」



その時、彼は思いついた。

「シルヴェスター…シルヴェスター!!!!!」


< 216 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop