悪魔の熱情リブレット

また彼の邪眼の利点は、アンドラスのように衝動的に能力が発揮されないところだ。

抑制できるため、仮面などで目を隠さなくても安心できる。

「私の邪眼を使うのですか?しかし、ティアナはちゃんと埋葬したほうが…」

「うるさいなっ!!!!やれって言ってるんだよ!!!!」

感情剥き出しのアンドラスに、オセーが冷静に尋ねた。

「貴殿がティアナを凍らせる理由は、保存か?」

「…そうだよ。ティアナの体を凍らせて腐敗を遅らせるんだ」

「しかし、なぜ…」

混乱するサリエルにアンドラスは答えを与えた。

「ティアナを生き返らせるためさ。僕がティアナの魂を天の国から奪いとって来るからね」

彼は笑う。

「器と魂があれば、命を作り出すことができるでしょ?」

「おやめなさい!!アンドラス!!ティアナはそんなこと望まないはずです!」

サリエルの猛反対にアンドラスは唸った。

「ティアナを凍らせてよ!!早く!!」

「お断りですよ、アンドラス!!一度死した肉体に魂を戻しても、いずれ器が腐敗に侵され朽ち果てます。一時の甦りに、何の意味がありますか?ティアナが苦しむだけです」

わかっている。

これは自分のエゴ。

しかし――。

「それでも!!…それでも、一時の甦りだとしても」



――ティアナに会いたい



この純粋な想いに、サリエルは冷ややかに言い放つ。


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