悪魔の熱情リブレット
彼が攻撃を仕掛けようとした瞬間だった。
「消えるがいい!!悪魔よ!!」
第三者の声がアンドラスの動きを鈍らせた。
「なっ!?」
巨大な槍がアンドラスの剣に激突する。
上空から突撃してきた天使。
鮮やかな紫の軍衣を堂々と着こなし、腰に黄金の剣をさげた彼は――。
「私は天使長ミカエル!神の命により悪魔アンドラス、お前を地獄へ幽閉する。大人しく従え!」
「天使長のお出ましか…」
ふとミカエルの後ろを見ると、何千という天使の軍が迫ってくるのがわかった。
「悪魔一匹捕まえるだけなのに大層なもんだね。それとも、集団でないと君達は何もできないの?」
地獄の王とそっくりなミカエルを見つめて嘲る。
(こいつらが双子だっていう噂…本当かもね…)
顔立ちが似過ぎている。
唯一の違いは髪の色。
ルシファーは黒いがミカエルは銀髪だ。
「戯言に付き合う気はない。もう一度言う。大人しく従え!」
「…大人しく、従え…?」
アンドラスは言葉を聞き返すと初めは小さく、それからだんだんと激しく笑い出した。