悪魔の熱情リブレット
悪魔の笑い声に不快な顔をするミカエル。
ひとしきり笑い終わるとアンドラスは言った。
「ハァ…ねえ、天使長さん…」
いつでも魔力を解き放てるよう神経を高ぶらせる。
「悪魔を、なめないでくれる?」
この一言で戦いは始まった。
シャッテンブルクの教会で主の帰りを待つシルヴェスター。
彼は町の民家に戻ることなく夜を過ごした。
もうティアナがいないので、家に戻っても意味がないのだ。
「ティアナ様…」
バシンやサリエル達が地獄に戻り、シルヴェスターしかいない暗い小部屋。
「もう、貴女は…『シルシル』とは、呼んで下さらないんですね…」
寂しげに口から漏れた独り言。
何だかんだ言いつつ、『シルシル』としてティアナに接する自分を気に入っていた彼。
「貴女との日々は…自分が人であった時よりも、人らしい時間でした…」
楽しかったのだ。
幼い少女の成長を見守り、育むという奇跡。
奴隷のような存在であった自分では一生味わえなかったであろう穏やかな喜びの時。