悪魔の熱情リブレット
シルヴェスターはすでにやる気満々のサリエルに驚いた。
バシンの顔を見るも、彼もサリエルの心変わりの原因が良くわからないらしい。
まあ、結果よければなんとやらだ。
あまり気にしても仕方ない。
「ティアナを床に寝かせてもいいですか?」
サリエルの質問に、シルヴェスターは拒否する理由もないため素直に頷いた。
了承を得て床に置かれるティアナの体。
「では、始めます」
サリエルは一度目を閉じると、自分の魔力を瞳に集中させた。
「…凍れ!」
見開かれた悪魔の目。
そこから発せられた銀色の光が冷気となりティアナに纏わり付く。
徐々に凍りついていく、床に寝かされた少女の体。
数秒で氷は全身を覆い、ティアナの腐敗をせき止めた。
「ふぅ…。これで良いでしょう」
氷は棺の形をとり、ティアナを守るように包み込んでいる。
「ありがとうございます」
頭を下げて礼を言うシルヴェスター。
「お嬢ちゃんの体はどれくらいもつんだ?いくら凍らせても、やっぱ限界があるだろ?」
「バシン。私を甘く見ないで下さい。私の魔力を込めた氷ですからね。軽く千年は可愛らしいティアナのままですよ」
――後はアンドラス次第です
復活の望みは薄い。
しかし、叶えばいい。
サリエルは静かに微笑んだ。