悪魔の熱情リブレット
「愚か者がっ!!待てと言っているだろう!!」
素早く動いたミカエルは、自分の黄金の剣でアンドラスの剣を真っ二つに折った。
「なっ!?僕の、剣が!!」
――折れた…?
にわかには信じられない。
「拘束はしない。大人しく待っていろ」
驚愕するアンドラスを残し、天使は門の先へ消えていく。
「くそっ…」
悔しさが込み上げる。
「くそおおおぉぉ!!!!!!」
無力な自分が憎い。
「ティアナーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
天の入り口で叫ばれた名前は、そこに住まう天使達の耳にはっきりと届いた。
もちろん、魂の見張りをしていたとある新米天使の耳にもちゃんと響く。
「悲しい声だ…」
多くの魂が静かに安らぐこの場所で、その天使は聞きたくないというように首を振った。
「あれ…?」
ふと視界に入ったもの。
「光ってる…?」
何かを訴えるように明滅する魂を見つけた。
甲冑を身につけ魂の警護をしていた彼。
魂に異常があっては大変と、慌てて近寄る。