悪魔の熱情リブレット
神の結論が出るまで、アンドラスは天の門前でひたすら待っていた。
魔界に帰る気も起きなければ、シャッテンブルクでティアナの顔を見る気にもなれない。
辛抱強く待つのみ。
何年でも待つつもりだったが、意外とすぐに結果は出た。
「悪魔アンドラス、ティアナという少女の魂を人間に転生させることを神はお許しになった。しかし、それには条件がある」
伝えにやって来たミカエルの表情が厳しくなった。
「お前が天使として再び神に仕えること。この条件に頷かなければ魂の転生は行われない」
「な!?天使に戻れって!?」
無茶苦茶だと叫ぶアンドラス。
けれど、天使長は至って真面目に答えた。
「天の平穏を得るために必要な措置だ。このままの状態でお前が諦めるとは思えない。しかし、私達もお前の相手ばかりしていられない。ゆえにお前の要求を甘んじて受ける」
「…僕を天使にするのは足枷ってわけ…」
何度も拘束を断ち切る破壊の悪魔を、内側から神の力で支配してしまおうという計画。
天使に戻れば、彼は力や行動、破壊衝動さえも神に支配される。
危険な存在を神が管理することで天界の安全を守ろうというわけだ。