悪魔の熱情リブレット
「結局、貴様らの都合か…。憐れな悪魔に慈悲をかけるんじゃなく、がんじがらめにして自由を奪おうって魂胆か…」
しかも天使に戻ったら人間との恋は禁止だ。
彼らはティアナを人質にアンドラスの更生を企てているのだろう。
「ティアナの幸せを願うなら、天使に戻って大人しくしてろって…?」
残酷な天使長様だ。
「僕は生まれ変わったティアナが他の男といちゃつくのを、指をくわえて見てる気はないよ?」
ティアナと共に生きられなければ意味がない。
「だから僕は天使にはならない。いや、なれない」
――なったらティアナだけを激しく愛せない…
「交渉決裂か…」
アンドラスの答えを聞いてミカエルは溜息をついた。
「ならば十字架と聖水をもってお前を消し去るのみ!」
堕天したとはいえ、かつての同僚を永遠に葬るのは心苦しい。
顔には出さないが、ミカエルは心の中で嘆いた。
「永久の無に帰せ!」
ミカエルが首からぶら下げていた鋭く光る十字架を掲げようとした時だった。
「お止め下さい!!!」
急いで飛んできた甲冑を纏った下級天使が彼らの間に割って入った。