悪魔の熱情リブレット

「それはこの前聞いたの。あれでしょ?夜になるとお墓から出てきて、人間の血を吸って殺しちゃう死体のお話」

アウレリアはまだ知らない話を聞きたくてせがむ。

「他には?面白いお話な~い?」

「他の?それじゃあ…『呪いの町』の話はしたかしら?」

「呪いの町!?してない!聞かせて!」

アウレリアは大きな青い瞳を輝かせて反応した。

「昔、ここよりずっと東の地にシャッテンブルクという町があったのよ。町は商業で栄え、人々は豊かに暮らしていたわ。町の教会は山の上にあって、そこからの眺めが素晴らしいことで有名だったそうよ」

アウレリアは想像した。

多くの人々で賑わう町。

市場があり、食料や生活用品が売り買いされる。

(いいな~。私も一度でいいから町に行ってみたい)

田舎の村に生まれた彼女にとって、町は憧れだった。

(きっと、お洒落な女の子とかいっぱいいるんだろうな…)

可愛い服を着て、慣れた足取りで町を歩く。

そんな自分を思い描いていると、祖母が続きを話し始めた。


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