悪魔の熱情リブレット
月日は流れ、少女は大人へと一歩ずつ近づいていく。
手を出さないと決めていたアンドラスが思わず見惚れるほど美しく成長したアウレリア。
そんな村一番の美人としてちょっと有名になった彼女にやって来たものは、お見合いの話だった。
「そろそろアウレリアも適齢期だからね。お相手を選ばなくちゃ!」
張り切る母親に苦笑する。
彼女は結婚などまだ早いと思っていた。
「私、まだ子供よ。結婚なんて無理だわ…」
「そんなこと言って、まあ!お相手のことを知ったら気が変わるんじゃないかしら?」
意味深な母親の言葉にひっかかったアウレリアは、相手は誰か尋ねた。
「あなたの幼なじみよ」
「まさか…!」
嬉しそうに顔を上げる。
「エーリヒなの!?」
大好きな幼なじみの青年の名前を笑顔で叫んだ。
「なら嬉しい!」
屈託なく笑う娘に、母親もご満悦だ。
何の障害もなく事は運ぶと思われた。
ある天使が彼女の結婚の噂を聞くまでは。