悪魔の熱情リブレット
今日も天界で魂の安息を管理するライナルト。
草花を愛でるようにそれを慈しむ。
ふと、魂の群れの中にうなだれている天使を発見した。
「アンドラス?」
どことなくげっそり感が漂っている彼にそっと呼びかける。
「何か顔色が悪そうですけど…平気?」
アンドラスは青白い顔をさらに真っ白に変色させて唸った。
「ああ…。ティアナが…結婚するんだ…」
「転生したあの子ですね。結婚か…。早いものです」
しみじみと言うライナルトをアンドラスは睨みつけた。
「そんな悠長に構えてられないよ!ダメなんだ!ティアナの幸せを願っている…それは変わらないけど…他の男の手で幸せになるティアナなんて見たくないんだ!!」
心に黒い感情が渦巻く。
「無性にぶち壊したくなるのさ…」
天使になって封じられていた恨みや憎しみといった汚い心が一気に溢れ出してくる。
「気に入らない…気に入らないよ…ティアナ…」
――やっぱり僕は我慢なんてできない
狂うほどの嫉妬の闇が精神を支配する。
そして天使は考えた。
もう一度少女をその腕に抱く方法を。