悪魔の熱情リブレット



 翌日、アウレリアが目覚めたのは午前中がもうすぐ終わるような時間帯だった。

「なんか…私、すごい夢を見ちゃったような…」

思い返して赤面する。

(だって、あんな…!私って変態だったの!?それとも欲求不満!?エーリヒと婚約したから舞い上がっちゃったとか…!?)

彼女はベッドから起き上がろうとして体の違和感に気づいた。

「え…?もしかして…」


――夢じゃないの…?



その時、部屋に母親が入ってきた。

「あら、起きたのね。よく寝れた?」

「う、うん」

平然を装って返事をする。

「昨日の婚約で緊張疲れしたんでしょ?だから寝坊は大目に見るけど、そろそろ起きなさいね」

「はーい…」

夢か、現か、幻か。

母親は緊張疲れなどと言っているが、本当は――。




「あら?これ何かしら?」

ベッド脇にあるテーブルに置かれた見慣れない巻物を手に取るアウレリアの母。

「アウレリア、あなたこんなものを持ってたの?」

巻物を広げ、布団に包まったままの娘に見せる。


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