悪魔の熱情リブレット

「黙れ!アンドラス!お前は裁かれる側なのだ。むやみに意見を言える立場ではない」

余裕そうなアンドラスがカンに障る。

ミカエルは神の裁きを待った。



時が満ち、天の主が出した判決。


アンドラス、追放。


アウレリア、無罪。


天使の追放は堕天を意味する。

つまり悪魔となり地獄に堕ちること。

アウレリアは天使に恋愛感情を持っていたわけではないと判断されたため、被害者として無実になった。

翼をもがれ地獄に逆戻りとなったアンドラス。

けれど彼は堕天したことを後悔してはいなかった。

むしろ悪魔に戻りたくて進んで罪を犯した。

「ですからお戻りに?」

シャッテンブルクへ訪れたアンドラスをシルヴェスターが出迎える。

「言ったでしょ。『近い内にまた来る』って」

羽をもがれて痛む背中を摩りながら白い悪魔は溜息をついた。

「一回目の賭けは、僕が勝った…」

神がアウレリアに危害を加えず、自分だけを堕天させるようにすること。

「僕が悪魔になれば恋愛自由だし、ティアナのことも裁判でお咎め無しにできた…」


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